熱戦が続くワールドカップも大会3日目を迎えた。

この試合ではいよいよ、僕が優勝候補筆頭に推すイングランドが登場である。
初戦を迎えたイングランドの対戦相手は、進境著しいアメリカ合衆国だった。

サッカー界の「似たもの同士」、イングランドとアメリカ

イングランドとアメリカは、僕からすると「似たもの同士」のように見える。
同じ英語を話す民族で、白人がメインの人種構成も比較的近そうである。

そしてサッカースタイルも、この両国からは同じような香りが漂う気がする。
例えるならば、硬いビーフジャーキーの芳香と言ったところだろうか。
ちなみにこの例えは、我ながらイマイチよく分からないので気にしないでいただきたい。

ともかく、今でこそプレミアリーグの影響から、テクニカルな選手が多く育っているイングランド。
しかしほんの 15年くらい前までは、ロングボールとフィジカルのぶつかり合いに終始する古典的なサッカースタイルを主体にしていた。

そしてアメリカも、同じようにフィジカルを主体としたサッカーを実践している。

アメリカはちょっと前までは「サッカー不毛の大陸」と呼ばれたほど、サッカー人気のない土地柄だった。
しかしアメフトなどの他のスポーツは非常に盛んなので、少年時代にサッカーをやってからアメフトに転向する、または他競技で芽が出ないので、ある程度の年齢になってからサッカーに専念するような選手が多いんだそうだ。

それだけに、フィジカル能力では群を抜いているアメリカ。
その高いアスリート能力と技術の低さとのギャップが、ある意味でこれまでのアメリカサッカーの特徴となっていた。

しかし 95年にプロサッカーリーグの MLSが発足してから、アメリカのサッカーも様変わりしつつある。

それまで海外のリーグにしか興味がなかったラテン系移民=ヒスパニックのサッカーファンたちが、徐々に国内のリーグに興味を持ち始め、またデビッド・ベッカムのようなスーパースターが加入したことからも、サッカーに注目が集まってきている。

その流れの中で、常にスタジアムを満員にする、シアトル・サウンダーズのような人気チームも誕生してきた。

プロを目指す環境が整いつつあることから、若年層のテクニックレベルも徐々に上がってきているようである。

その近年の成長ぶりは、イングランドのそれとオーバーラップする。
そんな “似たもの同士” の両国が、グループリーグ初戦で対戦することとなった。

試合を分けた一つのアクシデント

試合はセンセーショナルな幕開けでスタートした。

前半わずか4分で、スティーブン・ジェラードがアメリカの包囲をかいくぐって先制点を挙げる。
イングランドとしては理想的な立ち上がりだった。

どのチームからしても初戦は難しいものだと言われるけども、そのハードルを一気に引き下げる先制ゴール。
あとはお得意の手堅い守りを続けていれば、かなりの確率で初戦をものにすることができる。

アメリカより実力上位と思われるイングランドからすれば、これは容易なミッションのように思えた。

しかしそんな青写真が、一つのアクシデントで水泡に帰してしまう。

キックオフから約40分間、イングランドは狙い通りの試合運びを展開していた。
アメリカはイングランドの堅陣を前に、まともなチャンスすら作らせてもらえない。

しかし迎えた 39分。
アメリカは久しぶりにイングランドゴール前に攻め込むことに成功する。
ただしその前には、イングランドDF陣の高い壁がそびえ立っていた。

アメリカのクリント・デンプシーが苦し紛れに放ったミドルシュートは、スピードもコースも特筆するものではなかった。

しかしここで信じられないミスが起こる。
イングランドのゴールキーパ、ロバート・グリーンがこのイージーなシュートをキャッチミス。
不規則な回転のかかったボールはそのままグリーンの脇を転がり抜け、イングランドのゴールに吸い込まれたのである。

ゴールキーパのポジションは、もともとイングランドの「泣きどころ」と言われていた。

かつてはゴードン・バンクスやピーター・シルトンのような世界的な名キーパーを数多く輩出してきたイングランドだけども、近年はプレミアリーグでのEU加盟国選手の外国人枠撤廃の影響を受け、プレミアは外国人ゴールキーパーで占められるようになった。

プレーする場を失ったイングランド人のゴールキーパーたちは経験を積む場も失い、めっきりイングランド人キーパーが育たない環境になってしまったのである。

この日の主役となってしまったグリーンも、プレミアで下位に低迷したウエストハム・ユナイテッドの選手である。

決して経験も能力も豊富とは言えないキーパーを起用しなければならないことが、イングランドの大きなジレンマとなっていた。

そしてこの初戦でいきなり、その不安は現実のものとなってしまったのである。

カペッロ船長の静かな船出

同点に追いつかれたイングランドは、後半は追加点を挙げようとアメリカ陣内に攻めこんでいった。
しかしアメリカも、2002年ワールドカップではベスト8に入った実力派のチームだけに、簡単にはゴールを割らせない。

そうこうするうちに、試合はだんだん小康状態に入っていく。

初戦で大きなリスクをしょう必要は無いとの計算もあったのだろうか、結局試合は大きな動きの無いままタイムアップ。

似たもの同士の両チームが、仲良く勝ち点1ずつをゲットした。

思わぬ形で勝ち試合を逃したイングランド。
けれども、グループCは比較的序列のハッキリしたグループである。
ワールドカップに出てくるチームで弱いチームは無いとは言うけれど、それでもイングランドの優位は動かない。

むしろグループで最大の難敵と見られるアメリカ相手の引き分けは、イングランドからすれば一歩前進だと捉えることもできるだろう。

観ているぶんには見所に乏しかったように思えるこのゲーム。

しかし両チームにとっては、一定の実りのあったゲームだったと言えるんではないだろうか。

イングランドはまだ本領を発揮しているとは言い難い。
もしかしてこれが本領だという可能性も無きにもあらず…だけども、僕はここから調子を上げてくるだろうと期待している。

静かな船出となった、ファビオ・カペッロ船長率いる大英帝国艦隊。

その旅の先に待ち受けているのは、いったいどんな結末なのだろうか。

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