日本の決勝トーナメント1回戦の相手が、パラグアイに決まった。
僕が更新を怠けていたせいで、当ブログとリアルタイムの大会の進行との間にかなりのタイムラグが生じてしまったけれども(スミマセン…)、とりあえずそのパラグアイが2戦目を戦ったこの試合から、レポートを再開しようと思います。
英雄の時代から受け継がれる伝統
パラグアイと言えばやはり未だに、GKチラベルトの印象が強いだろう。
同時期に活躍したデンマークのピーター・シュマイケルと並ぶ、当時の世界最高のGKの一人。
クラブではベレス・サレスフィエルドで ACミランを破って世界チャンピオンに輝いた 94年のトヨタカップ。そして代表では、優勝したホスト国のフランスに破れはしたものの、チームリーダーとして大活躍を見せた98年のワールドカップ。
これらの大会での印象が鮮烈だった、パラグアイ史上最高のゴールキーパーである。
ただ今大会のパラグアイを見渡すと、チラベルトほどの有名選手は見当たらない。
それを理由に、日本国内では「次のパラグアイには勝てそうだ」という楽観論が出てきつつあるようだ。
しかし、これは全くの見当違いだと僕は思う。
パラグアイは間違いなく強いチームだ。
日本が勝てないほどの強豪かと言えばそうではないけれども、それでも客観的に見れば実力はパラグアイのほうが上だと見ていいだろう。
このスロバキア戦でも、パラグアイはその強さを遺憾なく発揮していた。
堅固な守備をベースにするパラグアイ
ともにディフェンスに定評のある両チームだけに、立ち上がりは堅実で落ち着いた展開となる。
ただその中でも、よりチームとして完成度の高いパラグアイが、長短のカウンターから何度かのチャンスを作っていく。
そして前半 27分、オーバーラップしたエンリケ・ベラがミドルシュートを決めてパラグアイが先制。
さらに後半 86分には、FKのこぼれ球をクリスティアン・リベロスが決めてリードを広げた。
試合はパラグアイが、このまま危なげなく勝ちきって 2-0の完勝。
グループリーグ突破に向けて大きな前進となる一勝を挙げた。
一丸のチームワークを誇る難敵
この試合を含むグループリーグの戦いぶりを見る限りでは、パラグアイは日本にとって相当の難敵だと言えると思う。
攻撃にはそれほどの脅威は感じないけれども、伝統のディフェンスの強さは健在で、中盤のプレスの速さは相当なもの。
このパラグアイから得点を奪うのは日本もかなり苦労するだろう。
ディフェンスの堅さはデンマークよりも確実に上だと言えると思う。
さらにパラグアイ代表には、チームの結束を強める一つのエピソードがある。
今年の1月に、南米予選でチームの最多ゴールを挙げたエースストライカーのサルバドール・カバニャスが、オフに訪れたレストランバーのトイレで暴漢に襲われ、頭部を銃撃されるという事件が発生。
奇跡的に意識が戻り一命は取り留めたものの、まだ頭内に銃弾が残っている状態だという。
本人はプレーを再開しワールドカップに出場することを熱望したけれども回復は間に合わず、カバニャスのプレーを南アフリカの地で見ることは叶わなかった。
しかしそのカバニャスのために一つでも勝ち上がろうと、いまパラグアイ代表チームは一丸となっているそうだ。
日本がグループリーグを突破できたことの理由の一つに、優れたチームワークと団結力が挙げられると僕は思っているのだけども、パラグアイはその点で日本と同等か、もしかしたらそれ以上のレベルにあるかもしれない。
そんなパラグアイに勝つことが、容易であるはずがない。
オランダやイタリアに比べれば、ネームバリューでは劣るパラグアイ。
しかし、日本にとって非常に戦いにくい相手であることは間違いなさそうだ。
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