勝負に「たられば」は無いというのがスポーツの世界の鉄則である。
ただ、それでもあえて言わせてもらえるなら、両チームが万全の状態で、このカードを観たかったなと思う。

アフリカ大陸を代表するスーパースターとしてこの大会での活躍が期待されていたディディエ・ドログバ。

しかし、日本代表とのテストマッチでそのドログバが右腕を骨折し、コートジボワールはエースが完治しない状態でこのゲームに臨んでいた。

そして彼らが優勝候補・ブラジルに挑んだ末に待っていたのは、何とも後味の悪い結末だったのである。

コートジボワールをねじ伏せたブラジルの個人技

試合そのものは静かな立ち上がりを見せた。

ブラジル、ポルトガル、コートジボワールの3強がひしめき「死のグループ」と呼ばれたグループGで、ライバル相手に勝ち点を落としたくない両チームは慎重にゲームの趨勢を見極めているようにも思えた。

初のアフリカ大陸での開催ということで、アフリカ勢の活躍が期待されていたこの大会。
中でもコートジボワールはアフリカきっての完成度を誇るチームだということで、アフリカ勢で最も上位進出の望みをかけられていた。

彼らの強さの秘訣は、アフリカ特有の身体能力の高さや個人技もさることながら、アフリカらしからぬ組織力も備えていることにある。

それに加えて、切り札とも言うべきエース・ドログバを擁するコートジボワールは、ブラジルやポルトガルという強豪を脅かすにも充分な戦力を持っていると思われていた。

この試合でも立ち上がりは、その組織的なディフェンスでブラジルにいい形をつくらせない。

しかし、そんな膠着したゲームが動いたのは前半 25分。
ここまで大きなチャンスを作れていなかったブラジルが、カカーの粘り強いボールキープからのスルーパスから、抜けだしたルイス・ファビアーノがワンチャンスを決めて、先制に成功する。

さらに続く後半 50分、同じくルイス・ファビアーノがゴール前に入ったルーズボールを巧みなトラップでコントロールして、そのまま DFをかわしてボレーシュート。これが決まってブラジルが 2-0とリードを広げた。

2点ともきっちり崩しての得点ではなく、ブラジルの個人技から生まれたゴール。
コートジボワールからしてみれば不運な部分もあった失点だった。

決してコートジボワールを圧倒していたわけではなかったブラジルだったけれども、エースストライカーのルイス・ファビアーノや、調子の戻りつつある 10番のカカーが才能あふれるプレーを見せ、結果的にリードに成功する。

逆に、思うようにいかない展開に苛立ち始めたコートジボワール。
ブラジルはさらにその隙をついて、62分にはエラーノが決定的な3点目をゲットする。

これで勝負あり。
ブラジルの勝ち点3はほぼ確実となった。

しかしこの得点で崩れたのは、コートジボワールのゲームプランだけではなかった。
この3点目をきっかけにこの試合は、勝負の行方だけでなく、ゲーム自体も完全に崩壊してしまったのである。

試合を崩壊させたコートジボワールのラフプレー

3点目を奪われ完全に集中を切らしたコートジボワールは、ここからラフプレーを連発することになる。

まず3点目を挙げたエラーノがその直後、イスマエル・ティオテの悪質なタックルを受けて負傷退場に追い込まれる。

その後も荒っぽいプレーを続けるコートジボワールは、完全に試合を投げてしまい、ただ自分たちの苛立ちをブラジル代表にぶつけているだけのようにも見えた。

そこにはもはや、アフリカいちモダンなサッカーをする洗練されたチームの面影はない。
あったのは日本とのテストマッチで、報復行為で今野泰幸を壊した時と同じような、ラフで感情的なアフリカのチームの姿である。

そして試合終了間際には、ブラジルのカカーがコートジボワールの選手の演技の犠牲者となり、2枚目のイエローを受けて退場に追い込まれる。
これをきっかけに両チーム間の小競り合いも発生し、試合は荒れ模様の展開となった。

ちなみにこの乱戦には、伏線としてルイス・ファビアーノのゴールも関係している。
ブラジルの2点目は見事なボールコントロールからの得点だったけれども、この際にルイス・ファビアーノが手を使ってボールを操っていたということだ。

こういった事件もあって荒れたゲームとなったこの試合。
後半のドログバの復活ゴールも、空しい空砲に終わった。

本当のアンチフットボールとは

この勝利でグループリーグ突破を決定的にしたブラジルと、崖っぷちに立たされたコートジボワール。

「死の組」と言われていたグループGも、2戦目にして早くもグループの大勢が決してしまう事となった。

しかしこの、大会前半屈指の好カードが、こんな不細工な試合になってしまったのはつくづく残念である。

ドログバの故障から始まって、ルイス・ファビアーノのハンド、コートジボワールのラフプレー、カカーの退場と、ネガティブな要素がふんだんに盛り込まれた前代未聞のバッドゲーム。

終盤の乱闘騒ぎは見世物としては面白かったけども、僕らが期待しているのはそんなプロレスまがいの試合ではないのである。
まあ、ドログバのシュミット式バックブリーカーや、覆面を被ったルッシオの回転エビ固め、ルイス・ファビアーノの猪木のモノマネによるマイクパフォーマンスでも見られるのなら、ちょっと見てみたい気はするけども…!

それはさておき、サッカー界では守備的なサッカーのことを「アンチフットボール」と言ったりするけれども、僕が思うに本当のアンチフットボールはこの日のような試合のことではないか。

僕らが観たいのは華麗なテクニックの競演や、激ししくもフェアな体のぶつかり合いである。
決して人目を盗んだ反則や、相手選手を破壊することを狙ったラフプレーではないはずだ。

個人的には、この試合に限っては試合結果は2の次である。

優勝候補にも名前の挙げられたこの両チームが、こんな中身のない試合をしてしまったことを、僕はつくづく残念に思った。

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